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「ともちゃんち」 無事終演いたしました


2025「ともちゃんち」舞台写真

「ともちゃんち」公演パンフレットより

 

小雪舞う六甲小学校から南の空に何本も立ち登る太い煙柱を呆然と眺めたあの日。足元の運動場には何本もの亀裂が入っていました。もうあれから30年が経つのですね。あの日、窓という窓からは大きな炎をあげて燃え盛ってた我が家兼劇団スタジオ。目に焼き付いた震災の思い出を払拭しながら走り続けてきた年月だったように思います。

 

激震に人が築き上げてきた文明の余りのもろさに気づかされ、あの瞬間からバブルを謳歌した時代から社会が大きく変わる転換期に入ったようです。さらに時代は変化し、広がる格差に富める者は富み、困窮する者は置き去りにされる厳しい世の中に変わっていきました。幸せの価値も人それぞれでしょうが、同じ社会に暮らす者同士、せめて衣食住に困らぬ最低限の生活を守り助け合っていきたいものです。

 

このお芝居は原作者たなかともさんと、「食う、寝る、出す、干す」が生きる基本であり「なんでもぐるぐるまわってる。人の心も体も命でさえも」が口癖の祖母「99歳ちりつもばあちゃん」のお二人の姿をお借りして、被災した神戸の街の物語にしました。食べること、睡眠をとること、快便であることは生きるための基本であり、当たり前のことでありながら多忙な現代人は疎かにしがちです。それにおばあちゃんはありとあらゆるものを日に干すそうです。日光消毒だけでなく、日に干すその心に、お日様への信頼と感謝であり、自然への畏敬の念を感じます。

地震をはじめとして、いまや全世界で多発する自然災害は、その多くがお金をオールマイティとする人間の欲望による地球の破壊に起因する人為的災害と言えます。地球も日々変化し続ける生き物です。おばあちゃんの口癖「なんでもぐるぐるまわってる。人の心も体も命でさえも」は、人間は他の生物同様に循環する自然界の一生物であり、互いに認め合い、ともに助け合い、ともに生きることこそが幸せへの道であり、驕り高ぶることのない本来の人間のあるべき姿を現しているようです。それを難しい言葉ではなく日常の平易な言葉で表し、どんな小さなことでも喜びにしてきたおばあちゃんの心意気や知恵がいっぱい詰まった、はんなりした京都弁が心にしみる原作本を手に取って、ぜひ、一度お読みいただければと存じます。

 

― おおやかづき



募金のご報告

能登半島地震義援金/ガザ地区緊急支援

公演会場にて実施しておりました能登半島地震義援金とガザ緊急支援募金は、皆さまのご協力により、合計 ¥111,817となりました。劇団員からの募金も合わせて¥120,000を¥60,000ずつ、<珠洲市能登半島地震災害義援金窓口>および<認定NPO法人ドネーションシップわかちあい様を通して現地でガザ地区の支援活動をする団体>へお送りさせていただきます。ご協力いただき、心から感謝申し上げます。