「父と暮せば」


2008年 中国・上海『上海国際戯劇季』にて、海外招請作品として上演。

阪神・淡路大震災で被災した劇団道化座が「父と暮せば」を上演する。注目せざるを得ません。なぜなら、「父と暮せば」で語られる多くの台詞が、そのまま私たちの震災体験と重なるからです。もちろん、この作品は、神戸の震災を知らずに'94年に書かれています。作者・井上ひさし氏のイマジネーションの不思議さです。いま、この作品にもっとも思いを込められるのは道化座ではないでしょうか?ひょっとしたら、道化座のために書き下ろされたのではないか、とさえ思うのです。そして、その意味を最も理解できる観客は神戸の人たちでしょう。道化座は重要なレパートリーを手に入れました。ー 演劇評論家 伊藤茂



ストーリー

いつものように変わらぬ広島の暑い夏の朝。突如、人々を襲った閃光。次の瞬間、一万二千度の熱風が吹き抜けた。二度と起こしてはならない原爆の悲劇。身体に、心に、深い傷を負った人々はどのように立ち上がったのか。独特の喜劇で、父娘の深い絆を、悲しみを乗り越えていく人間の姿を、そして生きる喜びを謳いあげた井上ひさし氏の名作中の名作!!

昭和23年。原爆で父・竹造を失った美津江は、広島の比治山近くに独り暮らしている。だが、父に会いたい美津江の思いからか、時々亡くなった竹造が姿を現す。美津江は、原爆で逝った女学校の友人たちを思うと、一人だけ幸せになる勇気を持てない。想いを寄せる男性がいるが、被爆した我が身に潜む病が恐ろしく、人を愛することなど許されないと、ひっそり生きようとする。何よりも、燃え上がる火の中に父を見捨て、一人逃げた自責の念は、どうしても振り払うことができない。父はそんな娘を、“原爆で一人生き残って、うしろめとうて申し訳なあ病”という病気にかかっていると診断。生き残ったからこそ「友達の分まで幸せになれ」「わしの分まで生きてくれ」と、幽霊の身ながら精一杯、娘に声援を送る。

キャスト

  • 福吉竹造:牛丸裕司
  • 福吉美津江:小田原ゆみ

上演要件

対象年齢 中学生/高校生/一般
上演時間 90分
準備時間 3時間
撤収時間 2時間
会場条件 特になし(体育館でも可)
備考


写真集

2023/09/23 父と暮せば 兵庫県立芸術文化センター

感想文

2023/09/23 父と暮せば 兵庫県立芸術文化センター