須永克彦追悼公演 道化座昭和伝
戦後間もなく、溺愛してくれた父の突然の死。残された一人息子の新吉は、母政代との間借り生活。朝鮮動乱の特需景気に沸き立つ世の賑わいをよそに、父が残した借金返しに必死に働く母。ただ一人、母の帰りを待つ孤独な少年新吉。大人になった新吉は、母が生き抜いた嵐の時代を、今、改めて振り返る。
息子新吉の母政代への挽歌……。明治生まれの母が戦争に翻弄されながらも、戦後の混乱期を懸命に生き抜く姿を描く。
朝鮮動乱の特需景気で沸きたつ中、政代は夫が残した借金を抱えながら病弱な息子新吉を女手一つで守り育てる。無事に成人し家庭を持った新吉は、老いて一人暮らしの母政代を引取る。ようやく世間並みに息子たちと心安まる平和な時を過ごす政代。だが、思いもよらぬ大震災に遭遇する。
以後、政代は新吉夫婦に見守られながらも徐々に痴呆症状が進み、子供に戻って穏やかにこの世を去る。息子新吉は、母が生きた嵐の時代を想いながら、次の世の在りようを思う。